THE BEATLES / COMPLETE ED SULLIVAN SHOW 1962-1970 【2CD+2DVD】
THE BEATLES / COMPLETE ED SULLIVAN SHOW 1962-1970 【2CD+2DVD】
販売価格: 9,000円(税込)
在庫あり
マニア必携Mクローデル・レーベルの中でも、特に人気の高いライヴ・クロニクル・シリーズの最新作が入荷します。今回はエドサリバンショウの音源と映像のセットになります。ビートルズがアメリカのファンの前に初めて姿を現した伝説のテレビ出演「エドサリバンショウ」は、全米で高い視聴率を上げたとか、放送中の犯罪率が減ったとか、エルヴィスからの祝電を受け取ったり、文字だけで伝説だけが独り歩きしていた感がありますが、一昔前は視聴すら出来ない状況が続いていました。映像作品「コンプリート・ビートルズ」においても、エドサリバンによるビートルズの紹介とファンの嬌声に続いて、なんとスタジオ・テイクを被せるという出し惜しみな編集にがっかりしたものでした。しかし時代を経るに従ってビートルズの過去のアーカイヴの蔵出しも徐々に緩和されていき、「First US Visit」ではワシントン公演などと並んでエドサリバンショウの映像がふんだんに使用されており、また近年ではトランスファーに問題があり画質はいまひとつなものの、正式にリリースされるに至り、エドサリバンショウに関しては一区切りがついた感がありました。
しかし今回、新たにMクローデルが、より高品質のマスターを入手しました。それが本作になります。従来のもので散見された、過度の音声NR、映像のフェーズずれ、テープの痛みという致命的な欠点がみられない、高品質な素材で収録されているということが大きな特長となります。また画質のアップグレードのみならず、おそらく今後もリリースされることがないであろうリハーサル映像や関連音源&映像を盛り込み、エドサリバンショウの決定盤といった仕上がりになっています。
ビートルズのみならず、当時ショウビジネスの世界で成功するというのはアメリカで成功することとイコールでした。しかしイギリスのバンドがアメリカで成功したという例は皆無。実際にアメリカでリリースされたビートルズのアルバムも、当初はほとんど売れなかったと伝えられます。そんな中、1964年1月パリ公演中に「抱きしめたい」が全米チャートでトップになったというニュースがもたらされます。もちろんビートルズ2月の渡米は事前に予定されていたもので、このヒットを受けてのものではありませんが、渡米直前という絶妙のタイミングでのトップの報。これは運が味方したとしか思えません。アメリカへ向かう航空機の中では不安と期待が入り混じって異常なテンションになっていたとリンゴは述懐しています。しかしその不安は杞憂に終わり、空港には多くのファンが出迎え、記者会見ではユーモアを発揮する余裕もあり、全米を一夜にして虜にしてしまったのです。つまり伝説は真実であったと言うべきでしょう。
1964年2月の渡米は、コンサートはワシントンとニューヨークのカーネギーホールの2公演のみ。その他はエドサリバンショウでの演奏と、ビートルズにとって顔見せ程度の意味合いしかありませんでした。しかし、このわずかな露出がファンの飢餓感を煽り、同年夏の全米ツアーを大成功に導くことに繋がります。今までビートルズの動く姿を見たことがなかったアメリカのファンにとって、本作に収録されているエドサリバンショウこそが、初めてビートルズが全米のファンの前にベールを脱いでその姿を現した最初、まさに歴史的瞬間なのです。そして本作は1964年の初出演から、ビデオ出演となった1970年まで、ビートルズが出演したエドサリバンショウを完全収録したタイトルになります。
【1964年2月9日】
前述のように、ビートルズが初めて全米のファンの前に姿を現したのが、この2月9日の放送でした。ビートルズは生放送で出演。エドサリバンの高らかな紹介とともに、ポールがカウントを入れて始まる「オールマイラヴィング」。ビートルズのアメリカ制覇はここから始まったのです。続いてテンポを落としたカバー曲「ティル・ゼア・ワズ・ユー」、そして軽快な「シーラブズユー」と「アイソーハースタンディングゼア」と続き、最後をリアルタイムのヒットナンバー「抱きしめたい」という構成。アイドル的な人気で売り出そうとしていたのか、「ティル・ゼア・ワズ・ユー」の際には各メンバーの名前を紹介するテロップが入るときジョンの部分にだけ「Sorry Girls, He’s Married」と加えられています。ここで不思議なのは、この第一回の選曲がポールに偏っている点です。5曲中ポールがリードを採る曲が3曲。2曲はジョンと二人で歌うナンバーでジョージとリンゴはヴォーカルを採らず演奏に徹しています。当時のバンドといえば「誰それ&グループ」というふうに、フロントマンが決まっているものがほとんどの中で、全員がリードを採ると珍しい形態がビートルズの特長でもあったはずです。そしてリーダーはジョンであることも衆目の一致するところ。ところがアメリカ初上陸の初めてのお披露目という大切な場面で、ポールを前面に出すという構成の意味合いは、もう少し論じられても良いのではと思います。最後のトラックには、番組の放送を見る当時のアメリカの一般家庭の様子が収録されています。また冒頭には、当時番組で放送されたTVスポットも漏れなく収録されています。
【1964年2月16日】
ビートルズ2度目の出演は、陽光降り注ぐマイアミでの収録になります。前回と同じ曲に加え、新たに「This Boy」と「From Me To You」が加えられました。ここでもジョンがリードを採る曲が「This Boy」のみと、ジョンが一歩下がった選曲になっています。ビートルズはあの象徴的なスーツを着用しており、一般的なビートルズのイメージはこの放送回からきているのではないでしょうか。ジョンとポールがヴォーカルを一緒に採る「She Loves You」や「I Want To Hold Your Hand」、フロントの三人が一本のマイクで歌う「This Boy」など、これまたビートルズのステージを特徴付ける象徴的なシーンが詰まっています。なお、この回は公開リハーサルの映像も残されており、本番と同じ6曲分のゲネプロがそのまま映像で見ることができます。リハーサルと言っても客席を埋めての入れ本番さながらの形態で、臨場したファンは同じショウを2度見たことになります。しかしそこはやはりリハーサル。いくぶん緊張感から放たれた雰囲気で、低く設定されたマイクスタンドといい、当時のドタバタ具合が伺えるリハーサルです。「She Loves You」が始まってもジョンはマイクスタンドを直すため演奏に加わらず一生懸命に高さを調整、ポールはマイクが低いながら身体をかがめて歌っています。ジョンは演奏が始まってずっとマイクを直しているわけにもいかず、途中で諦めて演奏に加わりますが、歌いながらも苦笑いで、間奏中にカメラ目線でニヤリとする場面が捉えられています。このマイアミでのリハーサル部分は従来Mクローデル・レーベルの「CONCERT AT WASHINGTON COLISEUM 【CD+2DVD】」のボーナス映像で収録されていたものがベストとされてきましたが、本作には更にアップグレードした画質で収録されています。また冒頭には、当時番組で放送されたTVスポットも漏れなく収録されています。
【1964年2月23日】
3回目となるこの年の出演で、やっとジョンの真骨頂の見せ場がやってきます。力強く始まる「Twist And Shout」がオープニング・ナンバー。ア〜ア〜で始まりショート・バージョンのライヴアレンジはまだこの時点で出来ておらず、スタジオ・バージョン通りのイントロでフルコーラスが演奏されました。続いてこれもエドサリバンショウでは初めて演奏する「Please Please Me」。ジョン寄りのカメラで、今まで以上にジョンに比重が置かれたカメラワークとなっており、まさにこれは「ジョンの回」とも言うべきジョンの貢献度が高いものです。わずか3曲の出演でしたが、ナンバー1ヒット曲「I Want To Hold Your Hand」は外せないとして、他の回で演奏していない曲をあえてここにぶつけてきたところに意図的なものを感じます。しかもそれが両曲ともジョンがメインとなる曲で、「リーダーはオレだ!」と言わんばかりの熱演を展開しています。
【1964年5月24日】
この回は2月のビートルズのアメリカ初上陸と夏の初の全米ツアーとの合間にあたり、ビートルズのスタジオ出演ではありませんが、ちょうど映画「ビートルズがやって来るヤァヤァヤァ」が公開されるとあって、その中から「You Can’t Do That」のシーンが放送されました。この曲のシーンは結果的に映画から割愛され、後に『Making Of A Hard Day’s Night』でソフト化された曲ですが、よりによってカットされた曲を映画のプロモーションで番組で紹介していたことになります。曲の前には、エドサリバンショウのために収録されたインタビューが収録されています。天気の良い日の庭で行なわれたインタビューで、エドサリバンに胸襟を開いて屈託なく話すメンバーの様子が伺えます。これらは今まで画質の悪い映像でしか見ることが出来ませんでしたが、本作では格段にグレードアップしています。
【1965年9月12日】
2度目の夏の全米ツアーを終えた後、再びエドサリバンショーに出演します。この頃には全米のファンにもビートルズがどういうグループなのか、各メンバーの人となりや役割が浸透してきたのか、ちょうどジョンとポールが半々の割合でリードを採る選曲がなされています。リンゴのヴォーカル曲「アクト・ナチュラリー」が選ばれたにも関わらずジョージの曲がないのは、映画の主役を張り、アメリカで人気の高かったリンゴにスポットを当てるという事情があったのでしょう。選曲はこの当時のステージで演奏していた曲から5曲。そして唯一例外が「Yesterday」で、これは他のメンバーが引っ込み、ポールひとりが弾き語りで歌っています。「I’m Down」ではポールがメチャクチャな歌詞を、まるで何事もなかったかのように笑顔で歌っているのと同時に、ジョンがオルガンを演奏しているのが珍しいところ。しかもシェアスタジアムで有名になった「肘弾き」をここでも見ることが出来ます。エドサリバンショウのエンディング・クレジットからリプトン紅茶のCMを挟んでバックに流されている演奏は本編とは別テイクのリハーサル時の「Help」です。
【1965年9月19日】
この日の放送にビートルズは出演しませんが、エドサリバンが次回の放送からカラー放送になるという説明を行なう、そのエンディングでビートルズの「ヘルプ」の演奏が流れました。これも本編の演奏とはテイクが異なるリハーサルでの演奏です。
【1966年6月6日】
この頃からスケジュール的にテレビ出演の時間が捻出出来なくなっていたこと、そして事前に収録した映像を流すことでも放送に影響がないことなどから、以降ビートルズが直接出向いて聴衆の前で演奏することはなくなりました。この回の放送では、事前に収録した「ペイパーバックライター」と「レイン」が使われたのです。最初にスタジオでのビートルズのメンバーによるイントロダクションがあり、メインで話しているのはリンゴ。その後スタジオ・ライヴ形式(音声はマイミング)で演奏が行なわれました。通常ステージと異なり各々サングラスをかけ、服装もバラバラ、非常にリラックスした様子が伺えます。ポールは直前に転んだとかで、その時に欠けた前歯がそのままになっているのに注目です。こちらも従来の画質を上回る高品質なマスターより収録されています。
【1967年2月16日】
この回は1曲だけのビデオ出演。サージェントペパーズの衣装に身を包んだ有名な「ハローグッバイ」の映像はここで初めて使われました。様々なバージョンがある「ハローグッバイ」の映像ですが、これがエドサリバンショウで使われたものになります。今までこの回を収録した既発盤では、冒頭のエドサリバンの紹介の後、曲が始まったところから画質の良い別素材に切り替えられているものしかありませんでしたが、本作は当時放送されたそのままで収録されています。
【1968年9月12日】
この回は、アニメ映画「イエローサブマリン」特集の回で、映画の中から「ヘイ・ブルドッグ」のシーンが放送されました。この「ヘイ・ブルドッグ」のシーンは頭が4つある犬が奇形を想起させるということで、イギリス初公開時を除き、映画からは結果的にカットされてしまいました。この「ヘイブルドッグ」のシーンがソフト化されたのが1999年であることを考えると、ここでも映画のプロモーションにカットされたシーンを使ってしまったことになります。もちろん本作に収録のものは映画の流用ではなく、当時放送されたままの映像です。
【1970年9月19日】
この日の放送は「THE BEATLES SONGBOOK」と題した映画「レット・イット・ビー」の特番のようで、映画の中から「トゥーオブアス」と「レットイットビー」の2曲が放送されました。エドサリバンはなぜか「ザ」ビートルズではなく「ディ」ビートルズと、ドイツ語の発音で紹介しています。驚くのは鮮やかなカラー映像なのはもちろんのこと、エドサリバンの紹介からビートルズのシーンに切り替わる際のエフェクトなどが、6年前の初登場の時とのあまりの技術進歩に驚かされます。こちらも、今までこの回を収録した既発盤では、冒頭のエドサリバンの紹介の後、曲が始まったところから画質の良い別素材に切り替えられているものしかありませんでしたが、本作は当時放送されたそのままで収録されています。
【AUDIO DISC】
CDにはエドサリバンショウの音源のみならず、貴重な当時のラジオ・プログラムも収録されています。1963年2月23日放送の「DICK BIONDI SHOW」は、アメリカで初めてビートルズを紹介した番組として特筆すべきものです。「プリーズ・プリーズ・ミー」はスタジオ・バージョンをオンエアしています。この「プリーズ・プリーズ・ミー」こそ、アメリカのファンが初めて耳にしたビートルズなのです。ビートルズが初めて渡米する約1年前のこの日、アメリカで初めてビートルズがオンエアされた、その歴史的瞬間です。
また1964年1月12日放送の「JACK PARR SHOW」は、この時点で既にビートルズというグループがヨーロッパで話題となっており、この番組の中で、翌月ビートルズがアメリカに来てエドサリバンショウに登場するというような内容をしゃべっています。珍しいのはオンエアされた2曲がライヴ音源であることです。「From Me To You」が1963年11月16日ボーンマス公演、「She Loves You」が1963年8月27日サウスポート公演のライヴ音源がオンエアされたのです。選曲はもとより、なぜこのようなレアなライヴ音源がアメリカのラジオで流されたのかは不明ですが、非常に貴重な音源と言えるでしょう。
【COMPLETE ED SULLIVAN SHOW】
Mクローデル・レーベルのライヴ・クロニクル最新作は、ビートルズが出演した伝説的なエドサリバンショウを1964年2月初出演から1970年の最後の放送までを、大幅なアップグレードと最高音質で完全収録。リハーサル映像など関連音源&映像も収録。さらに放送観覧のポスターと当日のチケット、そしてマイアミのホテルで書いたサイン入りポストカードを復刻。インナーにはエドサリバン出演時の写真、リハーサルの写真、貴重なカラー写真などが満載。加えてビートルズ4人それぞれ個別の出演契約書も掲載。エドサリバンショウの全てがここに集約されています。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。スリップケース付。
DISC ONE
FEBRUARY 9, 1964
01. Introduction
02. All My Loving
03. Till There Was You
04. She Loves You
05. I Saw Her Standing There
06. I Want To Hold Your Hand
07. Outroduction
FEBRUARY 16, 1964
BROADCAST
08. Introduction
09. She Loves You
10. This Boy
11. All My Loving
12. I Saw Her Standing There
13. From Me To You
14. I Want To Hold Your Hand
15. Outroduction
REHEARSAL
16. She Loves You
17. This Boy
18. All My Loving
19. I Saw Her Standing There
20. From Me To You
21. I Want To Hold Your Hand
22. Outroduction
FEBRUARY 23, 1964
23. Opening
24. Twist And Shout
25. Please Please Me
26. I Want To Hold Your Hand
27. Outroduction
DISC TWO
SEPTEMBER 12, 1965
01. Introduction
02. I Feel Fine
03. I'm Down
04. Act Naturally
05. Ticket To Ride
06. Yesterday
07. Help!
08. Outroduction
08. Help!
SEPTEMBER 19, 1965 rehearsal
10. Introduction #1
11. Help! rehearsal #1
12. Introduction #2
13. Help! rehearsal #2
JUNE 9, 1966
14. Beatles Greeting
15. Paperback Writer
16. Rain
17. Outroduction
DICK BIONDI SHOW FEBRUARY, 1963
18. Introduction
19. Please Please Me
JACK PARR SHOW JANUARY 12, 1964
20. Introduction
21. From Me To You
22. She Loves You
23. Closing Annoucement
RADIO PROGRAMS
24. Ed Sullivan biography news
25. Beatles Conquer America
DVD DISC ONE
FEBRUARY 9, 1964
01. TV SPOT #1
02. TV SPOT #2
03. Opening
04. Introduction
05. All My Loving
06. Till There Was You
07. She Loves You
08. I Saw Her Standing There
09. I Want To Hold Your Hand
10. ON AIR - I Saw Her Standing There
FEBRUARY 16, 1964
11. TV SPOT
12. Opening
13. She Loves You
14. This Boy
15. All My Loving
16. I Saw Her Standing There
17. From Me To You
18. I Want To Hold Your Hand
FEBRUARY 23, 1964
19. Opening
20. Twist And Shout
21. Please Please Me
22. I Want To Hold Your Hand
MAY 24, 1964
23. Opening
24. Interview
25. You Can't Do That
DVD DISC TWO
FEBRUARY 16, 1964
REHEARSAL
01. She Loves You
02. This Boy
03. All My Loving
04. I Saw Her Standing There
05. From Me To You
06. I Want To Hold Your Hand
SEPTEMBER 12, 1965
07. Opening
08. I Feel Fine
09. I'm Down
10. Act Naturally
11. Ticket To Ride
12. Yesterday
13. Help!
14. Help! reprise
SEPTEMBER 19, 1965
REHEARSAL
15. Help!
16. Help!
JUNE 6, 1966
17. Introduction
18. Paperback Writer
19. Rain
FEBRUARY 16, 1967
20. Introduction
21. Hello Goodbye
SEPTEMBER 12, 1968
22. Hey Bulldog
MARCH 19, 1970
23. Introduction
24. Two Of Us
25. Let It Be
26. Outroduction
EXTRA
27. Introduction - Paperback Writer - Rain
しかし今回、新たにMクローデルが、より高品質のマスターを入手しました。それが本作になります。従来のもので散見された、過度の音声NR、映像のフェーズずれ、テープの痛みという致命的な欠点がみられない、高品質な素材で収録されているということが大きな特長となります。また画質のアップグレードのみならず、おそらく今後もリリースされることがないであろうリハーサル映像や関連音源&映像を盛り込み、エドサリバンショウの決定盤といった仕上がりになっています。
ビートルズのみならず、当時ショウビジネスの世界で成功するというのはアメリカで成功することとイコールでした。しかしイギリスのバンドがアメリカで成功したという例は皆無。実際にアメリカでリリースされたビートルズのアルバムも、当初はほとんど売れなかったと伝えられます。そんな中、1964年1月パリ公演中に「抱きしめたい」が全米チャートでトップになったというニュースがもたらされます。もちろんビートルズ2月の渡米は事前に予定されていたもので、このヒットを受けてのものではありませんが、渡米直前という絶妙のタイミングでのトップの報。これは運が味方したとしか思えません。アメリカへ向かう航空機の中では不安と期待が入り混じって異常なテンションになっていたとリンゴは述懐しています。しかしその不安は杞憂に終わり、空港には多くのファンが出迎え、記者会見ではユーモアを発揮する余裕もあり、全米を一夜にして虜にしてしまったのです。つまり伝説は真実であったと言うべきでしょう。
1964年2月の渡米は、コンサートはワシントンとニューヨークのカーネギーホールの2公演のみ。その他はエドサリバンショウでの演奏と、ビートルズにとって顔見せ程度の意味合いしかありませんでした。しかし、このわずかな露出がファンの飢餓感を煽り、同年夏の全米ツアーを大成功に導くことに繋がります。今までビートルズの動く姿を見たことがなかったアメリカのファンにとって、本作に収録されているエドサリバンショウこそが、初めてビートルズが全米のファンの前にベールを脱いでその姿を現した最初、まさに歴史的瞬間なのです。そして本作は1964年の初出演から、ビデオ出演となった1970年まで、ビートルズが出演したエドサリバンショウを完全収録したタイトルになります。
【1964年2月9日】
前述のように、ビートルズが初めて全米のファンの前に姿を現したのが、この2月9日の放送でした。ビートルズは生放送で出演。エドサリバンの高らかな紹介とともに、ポールがカウントを入れて始まる「オールマイラヴィング」。ビートルズのアメリカ制覇はここから始まったのです。続いてテンポを落としたカバー曲「ティル・ゼア・ワズ・ユー」、そして軽快な「シーラブズユー」と「アイソーハースタンディングゼア」と続き、最後をリアルタイムのヒットナンバー「抱きしめたい」という構成。アイドル的な人気で売り出そうとしていたのか、「ティル・ゼア・ワズ・ユー」の際には各メンバーの名前を紹介するテロップが入るときジョンの部分にだけ「Sorry Girls, He’s Married」と加えられています。ここで不思議なのは、この第一回の選曲がポールに偏っている点です。5曲中ポールがリードを採る曲が3曲。2曲はジョンと二人で歌うナンバーでジョージとリンゴはヴォーカルを採らず演奏に徹しています。当時のバンドといえば「誰それ&グループ」というふうに、フロントマンが決まっているものがほとんどの中で、全員がリードを採ると珍しい形態がビートルズの特長でもあったはずです。そしてリーダーはジョンであることも衆目の一致するところ。ところがアメリカ初上陸の初めてのお披露目という大切な場面で、ポールを前面に出すという構成の意味合いは、もう少し論じられても良いのではと思います。最後のトラックには、番組の放送を見る当時のアメリカの一般家庭の様子が収録されています。また冒頭には、当時番組で放送されたTVスポットも漏れなく収録されています。
【1964年2月16日】
ビートルズ2度目の出演は、陽光降り注ぐマイアミでの収録になります。前回と同じ曲に加え、新たに「This Boy」と「From Me To You」が加えられました。ここでもジョンがリードを採る曲が「This Boy」のみと、ジョンが一歩下がった選曲になっています。ビートルズはあの象徴的なスーツを着用しており、一般的なビートルズのイメージはこの放送回からきているのではないでしょうか。ジョンとポールがヴォーカルを一緒に採る「She Loves You」や「I Want To Hold Your Hand」、フロントの三人が一本のマイクで歌う「This Boy」など、これまたビートルズのステージを特徴付ける象徴的なシーンが詰まっています。なお、この回は公開リハーサルの映像も残されており、本番と同じ6曲分のゲネプロがそのまま映像で見ることができます。リハーサルと言っても客席を埋めての入れ本番さながらの形態で、臨場したファンは同じショウを2度見たことになります。しかしそこはやはりリハーサル。いくぶん緊張感から放たれた雰囲気で、低く設定されたマイクスタンドといい、当時のドタバタ具合が伺えるリハーサルです。「She Loves You」が始まってもジョンはマイクスタンドを直すため演奏に加わらず一生懸命に高さを調整、ポールはマイクが低いながら身体をかがめて歌っています。ジョンは演奏が始まってずっとマイクを直しているわけにもいかず、途中で諦めて演奏に加わりますが、歌いながらも苦笑いで、間奏中にカメラ目線でニヤリとする場面が捉えられています。このマイアミでのリハーサル部分は従来Mクローデル・レーベルの「CONCERT AT WASHINGTON COLISEUM 【CD+2DVD】」のボーナス映像で収録されていたものがベストとされてきましたが、本作には更にアップグレードした画質で収録されています。また冒頭には、当時番組で放送されたTVスポットも漏れなく収録されています。
【1964年2月23日】
3回目となるこの年の出演で、やっとジョンの真骨頂の見せ場がやってきます。力強く始まる「Twist And Shout」がオープニング・ナンバー。ア〜ア〜で始まりショート・バージョンのライヴアレンジはまだこの時点で出来ておらず、スタジオ・バージョン通りのイントロでフルコーラスが演奏されました。続いてこれもエドサリバンショウでは初めて演奏する「Please Please Me」。ジョン寄りのカメラで、今まで以上にジョンに比重が置かれたカメラワークとなっており、まさにこれは「ジョンの回」とも言うべきジョンの貢献度が高いものです。わずか3曲の出演でしたが、ナンバー1ヒット曲「I Want To Hold Your Hand」は外せないとして、他の回で演奏していない曲をあえてここにぶつけてきたところに意図的なものを感じます。しかもそれが両曲ともジョンがメインとなる曲で、「リーダーはオレだ!」と言わんばかりの熱演を展開しています。
【1964年5月24日】
この回は2月のビートルズのアメリカ初上陸と夏の初の全米ツアーとの合間にあたり、ビートルズのスタジオ出演ではありませんが、ちょうど映画「ビートルズがやって来るヤァヤァヤァ」が公開されるとあって、その中から「You Can’t Do That」のシーンが放送されました。この曲のシーンは結果的に映画から割愛され、後に『Making Of A Hard Day’s Night』でソフト化された曲ですが、よりによってカットされた曲を映画のプロモーションで番組で紹介していたことになります。曲の前には、エドサリバンショウのために収録されたインタビューが収録されています。天気の良い日の庭で行なわれたインタビューで、エドサリバンに胸襟を開いて屈託なく話すメンバーの様子が伺えます。これらは今まで画質の悪い映像でしか見ることが出来ませんでしたが、本作では格段にグレードアップしています。
【1965年9月12日】
2度目の夏の全米ツアーを終えた後、再びエドサリバンショーに出演します。この頃には全米のファンにもビートルズがどういうグループなのか、各メンバーの人となりや役割が浸透してきたのか、ちょうどジョンとポールが半々の割合でリードを採る選曲がなされています。リンゴのヴォーカル曲「アクト・ナチュラリー」が選ばれたにも関わらずジョージの曲がないのは、映画の主役を張り、アメリカで人気の高かったリンゴにスポットを当てるという事情があったのでしょう。選曲はこの当時のステージで演奏していた曲から5曲。そして唯一例外が「Yesterday」で、これは他のメンバーが引っ込み、ポールひとりが弾き語りで歌っています。「I’m Down」ではポールがメチャクチャな歌詞を、まるで何事もなかったかのように笑顔で歌っているのと同時に、ジョンがオルガンを演奏しているのが珍しいところ。しかもシェアスタジアムで有名になった「肘弾き」をここでも見ることが出来ます。エドサリバンショウのエンディング・クレジットからリプトン紅茶のCMを挟んでバックに流されている演奏は本編とは別テイクのリハーサル時の「Help」です。
【1965年9月19日】
この日の放送にビートルズは出演しませんが、エドサリバンが次回の放送からカラー放送になるという説明を行なう、そのエンディングでビートルズの「ヘルプ」の演奏が流れました。これも本編の演奏とはテイクが異なるリハーサルでの演奏です。
【1966年6月6日】
この頃からスケジュール的にテレビ出演の時間が捻出出来なくなっていたこと、そして事前に収録した映像を流すことでも放送に影響がないことなどから、以降ビートルズが直接出向いて聴衆の前で演奏することはなくなりました。この回の放送では、事前に収録した「ペイパーバックライター」と「レイン」が使われたのです。最初にスタジオでのビートルズのメンバーによるイントロダクションがあり、メインで話しているのはリンゴ。その後スタジオ・ライヴ形式(音声はマイミング)で演奏が行なわれました。通常ステージと異なり各々サングラスをかけ、服装もバラバラ、非常にリラックスした様子が伺えます。ポールは直前に転んだとかで、その時に欠けた前歯がそのままになっているのに注目です。こちらも従来の画質を上回る高品質なマスターより収録されています。
【1967年2月16日】
この回は1曲だけのビデオ出演。サージェントペパーズの衣装に身を包んだ有名な「ハローグッバイ」の映像はここで初めて使われました。様々なバージョンがある「ハローグッバイ」の映像ですが、これがエドサリバンショウで使われたものになります。今までこの回を収録した既発盤では、冒頭のエドサリバンの紹介の後、曲が始まったところから画質の良い別素材に切り替えられているものしかありませんでしたが、本作は当時放送されたそのままで収録されています。
【1968年9月12日】
この回は、アニメ映画「イエローサブマリン」特集の回で、映画の中から「ヘイ・ブルドッグ」のシーンが放送されました。この「ヘイ・ブルドッグ」のシーンは頭が4つある犬が奇形を想起させるということで、イギリス初公開時を除き、映画からは結果的にカットされてしまいました。この「ヘイブルドッグ」のシーンがソフト化されたのが1999年であることを考えると、ここでも映画のプロモーションにカットされたシーンを使ってしまったことになります。もちろん本作に収録のものは映画の流用ではなく、当時放送されたままの映像です。
【1970年9月19日】
この日の放送は「THE BEATLES SONGBOOK」と題した映画「レット・イット・ビー」の特番のようで、映画の中から「トゥーオブアス」と「レットイットビー」の2曲が放送されました。エドサリバンはなぜか「ザ」ビートルズではなく「ディ」ビートルズと、ドイツ語の発音で紹介しています。驚くのは鮮やかなカラー映像なのはもちろんのこと、エドサリバンの紹介からビートルズのシーンに切り替わる際のエフェクトなどが、6年前の初登場の時とのあまりの技術進歩に驚かされます。こちらも、今までこの回を収録した既発盤では、冒頭のエドサリバンの紹介の後、曲が始まったところから画質の良い別素材に切り替えられているものしかありませんでしたが、本作は当時放送されたそのままで収録されています。
【AUDIO DISC】
CDにはエドサリバンショウの音源のみならず、貴重な当時のラジオ・プログラムも収録されています。1963年2月23日放送の「DICK BIONDI SHOW」は、アメリカで初めてビートルズを紹介した番組として特筆すべきものです。「プリーズ・プリーズ・ミー」はスタジオ・バージョンをオンエアしています。この「プリーズ・プリーズ・ミー」こそ、アメリカのファンが初めて耳にしたビートルズなのです。ビートルズが初めて渡米する約1年前のこの日、アメリカで初めてビートルズがオンエアされた、その歴史的瞬間です。
また1964年1月12日放送の「JACK PARR SHOW」は、この時点で既にビートルズというグループがヨーロッパで話題となっており、この番組の中で、翌月ビートルズがアメリカに来てエドサリバンショウに登場するというような内容をしゃべっています。珍しいのはオンエアされた2曲がライヴ音源であることです。「From Me To You」が1963年11月16日ボーンマス公演、「She Loves You」が1963年8月27日サウスポート公演のライヴ音源がオンエアされたのです。選曲はもとより、なぜこのようなレアなライヴ音源がアメリカのラジオで流されたのかは不明ですが、非常に貴重な音源と言えるでしょう。
【COMPLETE ED SULLIVAN SHOW】
Mクローデル・レーベルのライヴ・クロニクル最新作は、ビートルズが出演した伝説的なエドサリバンショウを1964年2月初出演から1970年の最後の放送までを、大幅なアップグレードと最高音質で完全収録。リハーサル映像など関連音源&映像も収録。さらに放送観覧のポスターと当日のチケット、そしてマイアミのホテルで書いたサイン入りポストカードを復刻。インナーにはエドサリバン出演時の写真、リハーサルの写真、貴重なカラー写真などが満載。加えてビートルズ4人それぞれ個別の出演契約書も掲載。エドサリバンショウの全てがここに集約されています。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。スリップケース付。
DISC ONE
FEBRUARY 9, 1964
01. Introduction
02. All My Loving
03. Till There Was You
04. She Loves You
05. I Saw Her Standing There
06. I Want To Hold Your Hand
07. Outroduction
FEBRUARY 16, 1964
BROADCAST
08. Introduction
09. She Loves You
10. This Boy
11. All My Loving
12. I Saw Her Standing There
13. From Me To You
14. I Want To Hold Your Hand
15. Outroduction
REHEARSAL
16. She Loves You
17. This Boy
18. All My Loving
19. I Saw Her Standing There
20. From Me To You
21. I Want To Hold Your Hand
22. Outroduction
FEBRUARY 23, 1964
23. Opening
24. Twist And Shout
25. Please Please Me
26. I Want To Hold Your Hand
27. Outroduction
DISC TWO
SEPTEMBER 12, 1965
01. Introduction
02. I Feel Fine
03. I'm Down
04. Act Naturally
05. Ticket To Ride
06. Yesterday
07. Help!
08. Outroduction
08. Help!
SEPTEMBER 19, 1965 rehearsal
10. Introduction #1
11. Help! rehearsal #1
12. Introduction #2
13. Help! rehearsal #2
JUNE 9, 1966
14. Beatles Greeting
15. Paperback Writer
16. Rain
17. Outroduction
DICK BIONDI SHOW FEBRUARY, 1963
18. Introduction
19. Please Please Me
JACK PARR SHOW JANUARY 12, 1964
20. Introduction
21. From Me To You
22. She Loves You
23. Closing Annoucement
RADIO PROGRAMS
24. Ed Sullivan biography news
25. Beatles Conquer America
DVD DISC ONE
FEBRUARY 9, 1964
01. TV SPOT #1
02. TV SPOT #2
03. Opening
04. Introduction
05. All My Loving
06. Till There Was You
07. She Loves You
08. I Saw Her Standing There
09. I Want To Hold Your Hand
10. ON AIR - I Saw Her Standing There
FEBRUARY 16, 1964
11. TV SPOT
12. Opening
13. She Loves You
14. This Boy
15. All My Loving
16. I Saw Her Standing There
17. From Me To You
18. I Want To Hold Your Hand
FEBRUARY 23, 1964
19. Opening
20. Twist And Shout
21. Please Please Me
22. I Want To Hold Your Hand
MAY 24, 1964
23. Opening
24. Interview
25. You Can't Do That
DVD DISC TWO
FEBRUARY 16, 1964
REHEARSAL
01. She Loves You
02. This Boy
03. All My Loving
04. I Saw Her Standing There
05. From Me To You
06. I Want To Hold Your Hand
SEPTEMBER 12, 1965
07. Opening
08. I Feel Fine
09. I'm Down
10. Act Naturally
11. Ticket To Ride
12. Yesterday
13. Help!
14. Help! reprise
SEPTEMBER 19, 1965
REHEARSAL
15. Help!
16. Help!
JUNE 6, 1966
17. Introduction
18. Paperback Writer
19. Rain
FEBRUARY 16, 1967
20. Introduction
21. Hello Goodbye
SEPTEMBER 12, 1968
22. Hey Bulldog
MARCH 19, 1970
23. Introduction
24. Two Of Us
25. Let It Be
26. Outroduction
EXTRA
27. Introduction - Paperback Writer - Rain
THE BEATLES / COMPLETE ED SULLIVAN SHOW 1962-1970 【2CD+2DVD】
販売価格: 9,000円(税込)
在庫あり